【簿記用語】【売上原価】とは?「当期販売商品の仕入金額」解説
簿記初心者から、講座クレアールを活用して日商簿記2級を合格しました。ミラキーと申します。
この記事では【売上原価】についてわかりやすく、
丁寧に、初心者の方向けに解説します。
・簿記の【売上原価】ってなんだろう…そう思った事ありませんか?
私は最初に簿記を勉強し始めた時、売上原価は費用?資産?どっちなんだろうと疑問に思っていました。分かりづらい部分ですよね。
【売上原価】とは、販売した商品の仕入れや製造にかかった費用のことを指します。決算整理仕訳や損益計算書・精算表などで頻出する重要な項目です。
【売上原価】を理解することで、以下のような方に役立つ知識が身につきます。
・学生のうちに簿記取得をし、就職活動を有利にしたい方
・簿記の資格を取得して転職やキャリアアップをしたい方
・自営業で確定申告するために簿記を理解したい方
こういった方の簿記資格取得のための知識の理解が深まります。
今回は、簿記初心者向けの基礎の簿記用語
【売上原価】について解説します。
なぜ【売上原価】を理解する必要があるのですか?
費用に分類される【売上原価】を理解することで、決算整理仕訳が正確にでき、
簿記の仕訳や企業分析の理解が深まります。
世間的に言われるデータドリブンにも応用できます。
データドリブンとは?:仕事上で手に入るデータをもとにして、経営戦略の策定や人事配置に冠する意思決定などを行うことです。
会計数字の把握は、会社の意思決定に欠かせない重要な材料となります。
・【売上原価】の理解は、簿記の点数向上や、
より良い投資先の企業選別にも役立つ可能性があります。
【簿記用語】【売上原価】とは?「当期販売商品の仕入金額」解説
・売上原価とは、売れた商品の仕入・製造にかかった費用のことです。
つまり、商品が販売された時に計上される原価を指します。
簿記において、売上原価は重要な項目であり、試験にもよく出題されます。
・分記法・三分法・売上原価対立法を理解すると、
それぞれの簿記の正しい書き方と売上原価の理解が深まります。
売上原価とは?
売上原価とは、商品やサービスを生産・提供するためにかかる直接的なコストや経費の総額を指します。
具体的には、商品の仕入れコスト、製造コスト、輸送費、付加価値向上のための加工コストなどが含まれます。
売上原価は、企業の収益計算において非常に重要な要素であり、正確な計算が利益評価や経営判断に影響を与えます。
売上原価に含まれる要素
売上原価にはいくつかの要素が含まれます。
これには、商品の仕入れコスト、輸送費、関連する税金や手数料などが含まれます。
また、商品の品質向上や付加価値を追求するための工程にかかる費用も考慮されます。
これらの要素を正確に計算し、売上原価を把握することが、効果的な価格設定や戦略の立案に繋がります。
売上原価に含まれる要素
原材料費: 商品や製品の製造に使用される材料の購入費用。
人件費: 製品の製造やサービス提供に従事する人々の給与や手当。
製造費: 製品を製造するために必要な設備や機器の維持費、エネルギー費など。
間接費: 直接の原価ではないが、商品やサービスの製造に一般的に関連する費用。例えば、工場の管理費や保険料など。
業界によって違う売上原価の考え方が異なる業界では、売上原価の計算方法や要素の重要性が異なります。
売上原価の意義と基本概念
売上原価を正確に把握することで、商品の利益率や経営効率を適切に評価し、収益最大化の戦略を立案することができます。
売上原価は、企業が商品やサービスを提供する際にかかる直接的な費用を表します。
これには原材料費、人件費、製造費などが含まれます。売上原価を正確に把握することは、以下の点で重要です。
正確な利益計算
売上原価を適切に計算することで、正確な売上総利益(売上高から売上原価を差し引いた額)が算出されます。
これは企業の利益を評価するための基本的な指標です。
経営戦略の立案
売上原価を分析することで、どの商品やサービスが利益をもたらしているか、どの部分でコストを削減できるかなどを把握し、経営戦略の立案に役立てることができます。
価格設定
正確な売上原価を把握することで、適切な価格設定が可能となります。
これによって競争力を維持しつつ、利益を最大化する価格を設定できます。
業種ごとの売上原価の考え方
異なる業界では売上原価の計算や評価の仕方が異なります。
業界によっては原材料の重要性が高い場合や、製造プロセスの複雑さによってコスト構造が異なります。
以下にいくつかの業種の例を挙げてみましょう。
サービス業:人件費や運営費などが主なコストとなることが多い
製造業:原材料や製造プロセスにかかるコストが重要で、生産効率の改善が大きな影響を与える。
IT企業(情報通信業):開発コストや人材コストが主要な要素であり、研究開発や技術革新がコスト構造に影響を与える。
建設業:原材料や人件費、設備投資などがコストとなり、プロジェクトの規模や特性によって異なる。
小売業: 仕入れた商品の原価と、店舗運営にかかる経費が重要。
業界ごとに売上原価の要素や計算方法に注意が必要であり、業界特有の課題や戦略を考慮した計画が重要です。
売上原価と販管費の違い
売上原価と販管費は、企業の収益計算において異なる役割を果たします。
売上原価と販管費、それぞれの役割と違いを詳しく見てみましょう。
売上原価
・売上原価は、特定の商品やサービスに関連するコストを表すものです。
商品を製造・仕入れし、販売するためにかかる直接的なコストや経費が含まれます。
売上原価を正確に計算することによって、商品ごとの利益率や価格設定が可能となり、適切な経営戦略を立案できます。
売上原価は商品単位で管理され、商品の生産や販売活動に直接関与するコストを把握します。
売上高から売上原価を差し引いた金額が売上総利益です。
売上原価の内訳
売上原価の内訳は、販売商品の仕入れに関連する各種コストを詳細に示します。
これには、原材料の仕入コスト、輸送費、製造コスト、付加価値向上のための工程コストなどが含まれます。
売上原価の内訳を正確に把握することで、適切な価格設定やコスト削減策を検討する基盤が整います。
売上原価の内訳は、売上原価を構成する各コスト要素を詳しく分析することを意味します。主な内訳要素は以下の通りです。
売上原価の内訳
- 直接材料費: 製品に直接的に組み込まれる材料のコスト
- 直接人件費: 製品の製造に関与する労働者の給与や手当
- 製造費: 製造過程に関連するコスト(設備の維持費、エネルギー費など)
これらの要素を個別に詳細に把握することで、どのコストが売上原価に影響を与えているかを理解することができます。
売上原価の内訳分析は、経営戦略や効率改善のための重要なステップとなります。
販管費
・一方、販管費は、商品やサービスの販売・運営に関連する間接的なコストや経費を指します。
広告宣伝費、人件費、営業支援費用などが販管費に含まれます。
販管費は、商品ごとではなく企業全体の運営や販売活動にかかるコストを把握し、経営全体の健全な運営を支える役割を果たします。
売上原価の計算方法
売上原価の計算方法は、商品ごとに異なるコスト要素を合算するプロセスです。売上原価の計算式は以下の通りです。
一般的な売上原価の求め方:売上原価 = 仕入コスト + 製造コスト + 輸送費 + 加工コスト + 包装費 + その他の関連コスト
具体的な計算方法は商品の種類や業界によって異なるため、正確なコストを把握するためには細心の注意が必要です。
各要素の具体的な金額を集計し、これらを合算することによって売上原価が算出されます。
この計算は、商品の正確な利益計算や価格設定に不可欠なステップです。
分記法・三分法・売上原価対立法とは?
商品売買には、分記法・三分法・売上原価対立法の記帳方法があります。
違いは仕訳方法と使用する勘定科目にあります。
基本的には、三分法の仕訳が一般的に活用されています。
分記法とは?
分記法は、商品売買を
・「商品」(資産)
・「商品売買益」(収益)
の2つの勘定科目で仕訳を行う方法です。
・仕入や売上の金額をそのまま計上するため、決算整理が不要な点は、売上原価対立法と共通しています。
ただし、日々の商品原価を把握する必要があるため、実務的にはあまり使われません。
仕訳としては、
①商品1個を500円で購入し、代金を現金で支払った。
②後日、上記商品を600円で販売し、代金を現金で支払った。
分記法の場合…(商品・商品売買益)勘定科目を使用
解答:①商品500/現金500
②現金600/商品500
/商品売買益100
※決算整理仕訳は不要です。
※分記法のデメリットとして、仕訳時に商品の原価がわかる必要があります。
・日々、何万という商品の原価を把握することは非常に大変です。実務的に使用されることは少ないです。
・基本的に、商品売買は、三分法がメインで使われています。土地などの売買には分記法が使われています。
三分法とは?
三分法は、商品売買を
・「仕入」(費用)
・「売上」(収益)
・「繰越商品」(資産)
の3つの勘定科目で仕訳を行います。
※「繰越商品」は決算整理仕訳時にしか
出現しない勘定科目です。
※貸借対照表・損益計算書作成に際しては、「繰越商品」勘定は、「商品」と表示します。
三分法は、仕入時、販売時に「仕入」「売上」の金額をそのまま計上することができるため、
この方法は多くの企業で用いられる方法です。
三分法を用いることで、スムーズに記帳処理することがメリットです。
一方で、売上原価対立法や分記法と異なり、決算処理を要する点がデメリットです。
仕訳としては、
①商品1個を500円で購入し、代金を現金で支払った。
②後日、上記商品を600円で販売し、代金を現金で支払った。
三分法の場合…(仕入・売上・繰越商品)勘定科目を使用
解答:①仕入500/現金500
②現金600/売上600
※決算整理仕訳時にしーくり、くりしーの仕訳
仕入〇〇/繰越商品○○
繰越商品〇〇/仕入○○
を行って、当期末の売上原価を確定させます。
売上原価対立法とは?
売上原価対立法は、会計分野で用いられる重要な概念です。
これは、商品やサービスの売上に関連する原価を計算する方法論を指します。
売上原価とは、製品やサービスを生産・提供する際に直接的にかかる費用を指します。
売上原価対立法は、売上と原価の関係を明確にして、正確な原価計算を行い、経営戦略の立案や意思決定に活用するための手法です。
・「商品」(資産)
・「売上」(収益)
・「売上原価」(費用)
3つの勘定科目を使用します。
・この方法も分記法と同様に、決算整理仕訳が不要な点があります。
①仕入時は、三分法と同様の仕訳です。
②商品販売時に、商品原価を「商品勘定」の貸方から
「売上原価勘定」の借方へ振替します。
①商品1個を500円で購入し、代金を現金で支払った。
②後日、上記商品を600円で販売し、代金を現金で支払った。
解答:①商品500/現金500
②現金600/売上600
売上原価500/商品500
※決算整理仕訳は不要です。
売上原価対立法のメリットとデメリット
メリット:正確な原価計算と分析
売上原価対立法の採用によって得られるメリットは多岐にわたります。
この方法を用いることで、商品ごとの正確な原価を計算し、効果的な価格戦略や経営戦略を策定できます。
また、売上原価の変動を分析することによって、効率的な仕入れや生産の最適化が可能となります。
デメリット:複雑な仕訳と理解の難しさ
一方で、売上原価対立法にはデメリットも存在します。
複雑な仕訳が必要であり、初心者にとっては理解が難しい場合があります。
また、正確な原価計算のためには、正確な仕入れ情報が必要です。
情報の不足や誤りがあると、正確な売上原価の計算が難しくなります。
商品の売上原価の算定の仕方は?
売上原価を正確に計算するためには、「しーくり」「くりしー」という暗号のような仕訳を行います。
これにより、当期末の売上原価が算定されます。
商品の売上原価を算定する決算整理仕訳
①仕入〇〇/繰越商品○○
②繰越商品〇〇/仕入○○
①仕訳は、費用の増加/資産の減少(前期末在庫金額の計算)
②仕訳は、資産の増加/費用の減少(来期在庫金額の計算)
・この仕訳を行うことによって、
当期末の売上原価が算定されます。
以上が【売上原価】についての解説です。
簿記の勉強を進める上で、これらの知識を理解することが重要です。
売上原価は企業の利益を正確に把握するために欠かせない要素です。
よくある問題例【売上原価】の算定(三分法)を解いて理解度アップ!
基本問題
①期首商品棚卸高は14,000円。
②期末商品棚卸高は35,000円。
決算に際し、必要な決算整理仕訳を行う。なお、売上原価は仕入勘定で算定する方法によること(三分法)
※期中の仕入・売上は問題文から省いています。
解答:仕入14,000/繰越商品14,000
繰越商品35,000/仕入35,000
決算整理仕訳時に売上原価を求める基本的な問題になります。
このような仕訳を行うことで、
売上原価を正確に算定することができます。
そして、得られた売上原価は精算表や損益計算書、
貸借対照表などに反映させることが重要です。
売上原価の算定は簿記の基本的な内容の一つであり、しっかりと理解しておくことで会計情報の正確性を確保し、
企業の経営判断に役立てることができます。
【Q&A】【簿記用語】【売上原価】に関するよくある疑問・質問まとめ
- Q1.簿記3級の売上原価とは?
-
A.簿記3級の売上原価とは、「当期に販売した商品の仕入金額」を意味します。
・基本的には、売上原価=売上高-売上総利益の公式です。
・売上原価は、決算整理仕訳において、
当期販売商品の仕入金額(原価)を求めます。
・3級で学ぶ範囲では、
売上原価の算定方法として「分記法」と「三分法」があります。
- Q2.簿記3級の売上原価の求め方は?
-
A.簿記3級の売上原価の求め方は次の公式に従います:
売上原価=仕入れた商品すべての原価-売れ残った商品の原価(在庫金額)
・売上原価=最初にあった商品の原価(前期末在庫金額)+仕入れた商品全部の原価(当期に仕入れた金額)-売れ残った商品の原価(当期末在庫金額)
・これは先述した三分法の処理が基本となります。
決算整理仕訳の理解が不可欠です。
売上原価は、試験でもよく出題される重要なテーマです。試験問題として必ず出題されるレベルです。
・売上原価=「前期末在庫」+「当期末商品」-「当期末在庫」
決算仕訳整理の演習問題を繰り返し解いて、身に付けていきましょう。
- Q3.簿記2級の売上原価の求め方(計算方法)は?
-
A.簿記3級と同様に、簿記2級の売上原価も次の公式で求めます:
売上原価=「前期末在庫」+「当期末商品」-「当期末在庫」です。
・売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高
・簿記2級で学習する範囲として、売上原価を算定する方法は、
分記法と三分法に売上原価対立法が加わります。
・実務では、三分法が主流です。
・簿記2級・3級の両方で売上原価の求め方を理解するためには、
演習を通じてしっかりと理論を理解して習得しましょう。
【簿記用語】【売上原価】とは?「当期販売商品の仕入金額」解説まとめ
売上原価の重要性と要点
売上原価は、企業の経営戦略や収益計算において重要な役割を果たす概念です。
正確な売上原価の計算は、利益の評価や価格設定に不可欠です。
また、売上原価を適切に管理することで、業績分析や経営戦略の策定が円滑に行えます。
売上原価の要素や計算方法、業界ごとの特徴などを理解することで、経営判断においてより的確な情報を得ることができます。
簿記用語理解の業務・仕事への活用
売上原価の理解は、精算表などで頻出するため、
自営業や経理・税理士の業務に役立ちます。
・初心者の方こそ、売上原価の仕訳を具体例の演習を通してしっかり学びましょう。
仕訳が理解できるようになり、簿記のさまざまなサービスを使いこなし、
自社や会社の経理・会計のバックオフィス業務を円滑に運営しましょう。
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朝10分で差がつくちょこっと簿記
ふくしままさゆき著
誠文堂新光社
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売上原価を理解して、
生活や仕事に活かして良き簿記ライフを送りましょう!